30. こころの孤児
こころの孤児
夫は「こころの孤児」です。 ずっと話していて、この言葉に行き着いた。 何不自由のない裕福な家庭に生まれ育ちながら、孤児とはなんたるこった。 しかしながら彼を物語るとき、どうやらこの言葉がしっくりとくる。 だからといって、親が悪いとか被害者ぶりたいのではなく、 誰にも自分の心を悟られず、見破られず、それが自分の本意であったにせよ いっつも一人ぼっちであったことには違いない。
孤児という視点からすれば、甘えるだとか頼るだとか、望むだとかは、ない。 そうして生きてきた。 それが普通だった。 だから、人と接するとか関わるとか、交わるなんて怖くてしかたない。 ほんとは人恋しくて仕方なくても、孤児だから、スネて放棄するしかなかった。 そしてそういう、人恋しいなどという自覚もなかった。 なんか可哀想な美談に聞こえてしまうが、いえいえ、 ただただ状況と個性のマッチング、ケミストリーに過ぎない。
しかしそれを理解し、受け入れていくのには時間が必要だ。 でも大丈夫、今は孤児ではないのだからね。 うちのお客さんには、同じような孤児が多い。 そして私は、本気でその子らを育てようとしている。 今の世の中、こういった心の孤児は非常に多い。 でもそのほとんどの人が、自分が孤児だという自覚はない。
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